サイバーエージェント、新たな事業分野にシフトするための組織改革実施
先日サイバーエージェントさんが決算説明会にて、Ameba事業の人員を現在の1,600人から800人に減らし、新たな事業分野にシフトすると発表しました。決して今でもAmeba事業が悪いわけではないにもかかわらず、これだけ大きな組織改革ができるサイバーエージェントさんは素直にすごいと思うと同時に、藤田社長の言葉に気付かされることがありました。
“Ameba事業は決してジリ貧になっているわけではないが、早めの構造改革が得策と考えた。これまで進めてきたブラウザのプラットフォーム戦略は一定の安定収益が得られているが、急激な拡大は難しいと判断”(http://jp.techcrunch.com/2014/07/24/jp20140724cyberagent/)それは、タイにおいても同様のことが言えるのではないか、むしろ日本以上にスマートフォンデバイスを主軸としたサービスやソリューションがないとあっという間にデジタル領域では置いて行かれてしまうのではないかという危機感です。
タイのインターネット事情は日本の10年前と一緒?
タイのインターネット業界は、しばしば10年前の日本のようだと語られます。そのため、日本のタイムマシーン経営ができるだろうと考える企業が少なくありません。この考え方自体は間違っていルトは思いませんし、日本より遅れている面があるのは確かです。しかし、必ずしも全てが遅れているわけではなく、むしろ日本よりも進んでいる部分があります。
日本よりも進んでいる領域の最たる例はスマートフォンでしょう。以前の記事でスマートフォンの普及率でも書きましたが、タイは日本よりもスマートフォン普及率(対人口比)が高くなっています。
日本においては、インターネットが登場してから以下のようなデバイスの変遷を経てインターネットは利用されてきました。
PCの普及>>携帯電話(いわゆるガラケー)>>スマートフォン
一方、タイにおいては、PCの普及という段階を飛ばして、一気にモバイル、特にスマートフォンが普及してネットに接続するという流れになりました。
したがって、ユーザーにとってスマートフォンでインターネットを利用するのが一般的であり、PCの利用方法と異なってくるのは当然の流れです。
スマホユーザーはネイティブアプリの利用が一般的で、ブラウザ経由でのネット利用はわずかです。さらにFlurryの調査レポートによれば、その傾向はさらに高まっているようです。
参考:モバイルは2014年もアプリ利用が増えてWebは減少, 広告ではGoogleの一人勝ち
http://jp.techcrunch.com/2014/04/02/20140401mobile-app-usage-increases-in-2014-as-mobile-web-surfing-declines/
タイにおけるスマートフォン利用の特長
ただ、タイにおけるスマートフォン利用の傾向や特長は、世界の傾向とは少し異なるようです。
Smartphone usage among urban Thais doubles in past year, now at 36%
Ericsson (Thailand) が2013年8月に発表した調査によると、タイのスマホ利用の特長として以下の傾向が挙げられています。
- ソーシャルネットワークやインスタントメッセージ(IM)の利用が多い
- SMSやメールの利用は少ない
また、アプリをダウンロードする理由としてコンテンツや機能性ではなく、宣伝されていたからダウンロードするという特長が興味深いと指摘しています。
タイにおけるスマホ×広告の方向性
アプリ開発は私の専門ではないので、広告においてどのように活用していくべきか考えてみました。なお、ここからは完全に私の妄想です。
動画広告
日本でも動画広告が来る、と言われ続けて既に3周くらいまわってそろそろもういいんじゃないか感がでてきているのではないでしょうか。
ただ、タイは日本よりも動画広告が普及し、かつ効果的な手法になると考えています。
理由としては、YouTubeのローカル版設立に伴う、さらなるコンテンツの充実、ユーザーが動画視聴に対してポジティブであることがあげられます。
あとは、広告主がついてくればというところですが、それもテレビ広告が人気のタイにおいては比較的わかりやすく移行できるのではないでしょうか。
また、最近ではメチカという、ショートムービー作成アプリもじわじわとタイで人気がでてきているようです。
タイにおける動画を活用した広告、キャンペーンには注目です。
オムニチャネル・OtoOソリューション
日本でもオムニチャネルやOtoOといった手法を取り入れる動きが加速してきていますが、これはタイにも十分通用するように思います。
まず、タイにおいてはまだ実店舗における購入が一般的で、ECは伸びてはいるもののまだまだこれからというフェーズだと認識しています。次に、ある程度の所得を持つ層はバンコクに集中しているという地理的な特徴があります。そのため、バンコクには多くのデパートや店舗が乱立している状況です。
しかし、今後どう考えてもこれは供給過多に陥り、競争が激化することは間違いありません。その時、いかに顧客を囲い込み、ロイヤリティを高め、最終的に店舗に誘導するかが生き残るためには重要になるはずです。
まだ、このようなソリューションは日本でも実験的にいろいろなアプローチが登場し始めたばかりのようなので、タイ発のソリューションなどが出てくるかもしれません。
言うまでもなく、他にもたくさんの可能性があるわけですが、個人的にはこのあたりがサクセスポイントかなぁと感じている次第です。
ますますタイのデジタルマーケティングは刺激的なものになりそうです。
1986年長野生まれ。2009年青山学院大学法学部卒業。広告・Web業界。検索エンジンマーケティング(SEM)、純広、ソーシャルメディアなどオンライン・マーケティング全般。2012年からタイに出向中。
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